石田可奈さんの魔法科のデザインに関するあの記事を読んで
キャラクターデザイナー・石田可奈さんの多発するデザインミス - NAVER まとめ http://matome.naver.jp/odai/2144240478730846001
↑これを読んで自分もとても共感したので、自分でも気になっていたところを書き出してみました。
寒冷化の影響が残っているという世界観なのに、女子制服がノースリーブ
↑原作ラフスケッチ ↑原作一巻挿絵 ↑アニメ設定画
↑作者のツイッターでの発言
夏服ならまだましも冬服もこのままなのでとても寒そう。
男子は上着の下に長袖シャツとベストまで着込んでいるのに(男子の場合は真夏でもこの格好なので暑そう)
↑アニメ設定画 ↑原作3巻挿絵(舞台は真夏)
世界観を読み込まずにデザインしてしまったか。
動きにくそうな女子制服
魔法科の魔法は軍事に直結することの多い技術であり、兵器となりえる可能性ある魔法師を育てている魔法科高校は当然軍色が強くなる。だからデザインも軍色ある動きやすいデザインになるべきだろうに、女子制服は動きにくそうなマーメイド風ワンピース。
それを見て動きにくいだろうと判断したのか、原作者がスカートに三角プリーツを設定追加↓
しかしアニメではなぜか採用せず(アニメの総総作画監督は石田可奈さん。原作挿絵のデザインをそのまま使う)、謎のスリットを入れている↓
↑アニメ22話
↑アニメでマーメイド風では動きにくいだろうと設定に「裾を広げても大丈夫」とつけたしているのに三角プリーツは何故かスルー。
原作者はそのほか制服のオーガンジーや白ワンピースなどweb版には無かった設定を石田可奈さんデザインに合わせて追加するなど、挿絵担当に合わせようとしてくれているのに石田可奈さんは原作文に合わせようとしない傾向にある。
魔法科は文章のほうが先にきている(少なくとも一年度の部は確実に文章が先)はずなのに挿絵担当は文章にあまり合わせない謎。
チロリアンドレスとあるのにチロリアンドレスに見えない
チロリアンドレスとはオーストリアのチロル地方の女性の民族衣装でチロルドレス、ディアンドルともいう。(街に出稼ぎに来た農村の若い小間使い達に対する「お嬢さん」という呼びかけが、そのまま彼女達が着ていた服装の名称になったそう。wikiより)
イラストではメイドのカチューシャのようなものをつけていて全体的にウェイトレスのようなデザイン。(加えて指摘するとフリルたっぷりと本文にあるのにフリルが無い)
本文に「給仕用の服」とあるから普通のウェイトレスと安直に考えてデザインしたのかも。
↓司波深雪が兄のために準備し気疲れして倒れそうになるくらい気合を入れている場面なのに、衣装がこうシンプルでは気合の入りようがつたわりにくい。
せめてこう↑華やかに見える色を加えたり、メイドカチューシャではなく三角巾にしたりできたはず。
石田可奈さんはアニメーター出身ゆえかシンプルなデザインが多いためか、原作文の熱とマッチしない時が多々ある印象。
原作6巻のエプロンもフリル多用とあるのにフリルがシンプルで少なく見えるし、フリルの波が硬いので華やかに見えにくい。↓
コミカライズ担当さん達はこのシンプルなデザインを華やかにしようとする努力が伺える。↓
原作5巻、シースルーのブラウスとあるのにシースルーに見えないデザイン
シースルーとは薄手で透けて見える生地で作られた服のこと。↓
挿絵デザインでは透けていないし、本文には無い白いベストのようなものを着ている。
石田可奈さんのこういうデザインミスの恐ろしいところのひとつは、このデザインをメディアミックスなどが参考にしてそのまま採用してしまうところである。
↑魔法科高校の劣等生よんこま編
↑これがそのまま採用してしまった例。
ハイクラスのお嬢様である司波深雪が敬愛する兄との街中でのデートで気合を入れているであろうに、このデザインでは高級感がなく、まるでスポーツ観戦やゴルフやハイキングに行くような格好に見える。
ほかの女の子のデザイン(原作にはない)は可愛らしいので、単にtamago先生が原作挿絵に合わせようとしてくれた模様。しかしほかの女の子のデザインがかわいいから深雪さんの私服のダサさが顕著になってしまっている。
上部に書いた制服のスリットもメディアミックス等が参考にしてしまっている。
↑ディバインゲートとミリオンアーサーとのコラボ
北山雫というキャラクターは「大人びた顔立ちで身体は華奢(幼児体型ではない)」という設定(アニメのブックレットには二回も「幼児体型ではないと書かれている」)↓であるのにデザインでは子供っぽい顔立ちで幼児体型で設定と合っておらず、
この影響で電撃の編集者・三木さんがデザインで「雫は大人びた風貌ではない(子供っぽい)キャラ」と判断してしまう。(『魔法科高校の劣等生 LOST ZERO』の設定は黒歴史ノートを読んでいる感覚!? 『魔法科LZ』プロデューサー×三木一馬編集長の対談を掲載 - 電撃App http://dengekionline.com/elem/000/000/914/914581/ より)↓
(ちなみに雫には歳の離れた弟がいるのでお姉さんらしく振舞うのはおそらく普通だと思われる。)
↑原作13巻挿絵、真ん中の少年が雫の弟・北山航
原作19巻、 腕が包み込むようにまわっているとあるのにまわっていない
「右手で深雪の左手を、左手で深雪の右手を握っている」は合っているが、腕をクロスしているのは深雪さんのほうという。
原作文の「決して逃がさない」とも食い違う。
ソバージュとあるのにソバージュに見えない
あの記事のワンレングスも合っていないが、堤琴鳴のソバージュもソバージュになっていない。(ウエーブになっているからソバージュがウエーブヘアの一種なのは知っている模様)
↑原作16巻挿絵
ソバージュとは80年代あたりに流行った髪形で髪の根元近くから細やかなウエーブをかけたもの。↓
ネオソバージュというソバージュをゆるめにしたものも存在するが、挿絵デザインではウエーブがほとんど無いのでソバージュに見えにくい。
身長差や年齢を考えていないデザイン
↑原作16巻あとがきと挿絵
夕歌は22歳の160センチ、琴鳴は24歳の165センチで琴鳴のほうが年上で背が高いはずなのにデザインでは夕歌のほうが背が高く、琴鳴は24歳とは思えないほど子供っぽい。
またギャルっぽいからという文から作業員みたいなツナギデザインになるのも24歳の四葉の分家当主のガーディアン兼恋人の衣服とは思えないもの。
↑個人的理想図はこんな感じ。
原作と合わない表情など
司波深雪が超美少女淑女に見えない云々はここに書ききれないので割愛。
表情に出さないとあるのに表情が出たイラストを描く↓
↑原作16巻挿絵
原作文とマッチしないばかりかギャグっぽいこの描き方も少々問題があるように思う。
辛そうな顔をしなかったとあるのに表情が出ている↓
↑漫画版追憶編、石田可奈さん画
そもそもほとんど表情にでない設定の達也にそぐわない表情
漫画の追憶編はきちんと再現している↓
キャラに合わない表情といえばこれ ↓
強面で表情の出にくい達也とは思えないほど表情が子供っぽく、深雪さんも子供っぽいばかりか兄を敬愛し兄の後ろを付いていくような淑女である深雪さんが、兄に後ろから飛びつくというキャラにそぐわないシチュなのもおかしい。
キャラの過去も未来も感情もすべて知っているような第三者視点から書く原作者が「この二人になにがあったのでしょうか」↑と書くあたり、なにか思うところがあるのではないかと邪推してしまう。
顔のデザインに統一感がない
若干ツリ目のデザインかと思いきや↓
↑文庫版キービジュアル ↑原作一巻表紙
イラストによってはタレ目になったりと安定感がない↓
↑原作5巻挿絵 ↑原作4巻挿絵
急に子供っぽくなったりもする↓
↑原作14巻表紙 ↑原作17巻挿絵
上右はわかばガールのキャラデザの影響が出てしまっているものと思われる(石田可奈さんはわかばガールのキャラデザを担当)
配色に統一感がない
14巻では白っぽいような配色だったのに15巻では黒になる↓
髪色もだが髪の分け目も違っている。
一条の目の色は緑のはずが青になったりする↓
一高の制服は男子は肩のラインが黒、胸は緑、女子は方が黒、胸が白のはずが、他イラストでは違ったりする(6巻以降は一高は統一)↓
↑原作3巻表紙 ↑原作4巻挿絵 ↑原作5巻表紙
三高の制服は肩が黒、胸ラインが白、袖ラインが白のはずが、他イラストでは違ったりする。↓
↑原作5巻挿絵 ↑原作15巻表紙
この影響かアニメでもゲームでも配色がばらばらになっている。↓
↑アニメ設定画 ↑アニメdvd表紙イラスト(石田可奈さん画) ↑アニメキービジュアル
↑vitaゲーム ↑スマホゲーム
微妙にデザインがコロコロ変わる
一高の襟は外側に二本ラインがあったり無かったりする
↑原作7巻挿絵 ↑原作13巻挿絵
女子は襟に横ラインのみのはずが縦ラインもあったりする
このデザインの微妙な食い違いは石田可奈さんだけの問題でなく編集者の問題も大きいと思う。石田可奈さんはわかばガールや少年メイドなど可愛らしさ重視のデザインだとすごくマッチするので、魔法科の世界観に合わないだけなのかもと思う。